平鍋さんの『ソフトウェア工学の名著探訪』第5回( #agileway )

平鍋さん( @hiranabe )がUSTでソフトウェア工学の名著を紹介している本を
まとめておきます.ちなみにハッシュタグは #agileway です.

今回は,第5回目についてです.

http://www.ustream.tv/recorded/9849117

今回は Bertrand Meyer の『Object-Oriented Software Contstruction』('88) についてでした.

1版

Object-oriented Software Construction (Prentice Hall International Series in Computing Science)

Object-oriented Software Construction (Prentice Hall International Series in Computing Science)

2版

Object-Oriented Software Construction (Book/CD-ROM) (Prentice-hall International Series in Computer Science)

Object-Oriented Software Construction (Book/CD-ROM) (Prentice-hall International Series in Computer Science)

日本語訳された本として,『オブジェクト指向入門』('92)があります.
平鍋さんが手に持って紹介されているものは1版のもので,現在は2版が販売されています.

1版

オブジェクト指向入門 (ASCII SOFTWARE SCIENCE Programming Paradigm)

オブジェクト指向入門 (ASCII SOFTWARE SCIENCE Programming Paradigm)

2版

オブジェクト指向入門 第2版 原則・コンセプト (IT Architect’Archive クラシックモダン・コンピューティング)

オブジェクト指向入門 第2版 原則・コンセプト (IT Architect’Archive クラシックモダン・コンピューティング)

オブジェクト指向入門 第2版 方法論・実践 (IT Architects' Archiveクラシックモダン・コンピューティング)

オブジェクト指向入門 第2版 方法論・実践 (IT Architects' Archiveクラシックモダン・コンピューティング)

話としては,ソフトウェアの外的品質と内的品質,モジュール分割の
5基準と5原則,OCPについてでした.


モジュール分割の5基準としては,きちんと,

  • 分解しやすさ
  • 組み合わせしやすさ
  • わかりやすさ
  • 連続性
  • 保護性

について説明されていました.特に,"連続性"については,詳しく
説明されていて,仕様とアーキテクチャの連続性について,私自身は
初めて知るとともに,理解することができました.
オブジェクト指向によって,仕様の変更に対するソフトウェアの連続性が
高まるという観点は新鮮であり,なるほどと思いました.


また,モジュール性の5原則としての,

  • 言語としてのモジュール -> 1クラス=1モジュール
  • 少ないインターフェース -> 疎結合
  • 小さいインターフェース -> 疎結合
  • 明示的なインターフェース
  • 情報隠蔽

についても説明されていました.


本の説明としては最後に,OCP(Open Close Principle)についてでした.
モジュールに変更を加えずに,そこに変更を加えるという一瞬矛盾する
ことですが,ポリモーフィズムにより実現されていることでした.

本当は契約の話などもしたかったのこと.聞いてみたいと思うので,
残念に感じました.加えて,第2版に関しては,どなたかにバトンを
パスするとのことでした.


今回のおまけでは,Tom Engelbergの
『間違いだらけのソフトウェア・アーキテクチャ』を紹介されていました.

間違いだらけのソフトウェア・アーキテクチャ―非機能要件の開発と評価 (Software Design plus)

間違いだらけのソフトウェア・アーキテクチャ―非機能要件の開発と評価 (Software Design plus)

本自体は会話ベースで読みやすいそうです.オブジェクト指向入門や
日本のもの造り哲学といった本も紹介されているだけでなく,最近,
組込みソフト開発技法として議論が活発になってきているXDDPの話もあるそうです.
ちなみに,XDDPはシステムクリエイツの清水さんが提案されている派生開発に
特化した開発アプローチです.

日本のもの造り哲学

日本のもの造り哲学

今回の本はまったく内容がわかっていない本でしたが,どんなポイントが
ある本なのかわかるとともに,読んでみたいと思う紹介でした.
平鍋さん,ありがとうございました.


#読んでみたい本がどんどんスタックされていく…